正直と勇気(佐里編)

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いつもいつも喧嘩ばっかりしちゃってる……。 ホントは好きなんだよ。 大好きなんだ。 だけど正直になれなくて、あの子といつも喧嘩になってしまうの。 ホントとは、逆のことを言ってしまう自分が嫌。 あの子の前じゃ、正直になれない。 昨日も「圭介なんか嫌いだし!」ってあの子に言ってしまったの。 そしたら「俺も佐奈のこと嫌いだから大丈夫」って返ってきた。 凄く悲しくなって「嫌い」を連発。 こんな自分が1番嫌いだなぁ……。 今日は昨日のことを謝らなきゃ。素直にならなきゃ。 圭介、許してくれるかな。 学校に行くとすでに圭介が来ていた。 あ……圭介、謝らなきゃ。 でも思うように言葉にならない。悔しいよ。 すると圭介と目があった。私は自分の熱が上がったのを感じたのだ。 「あ、あのさ……昨日」 言葉……言葉が。 私に勇気と正直さを……。 「昨日はごめん!」 言えた。言えたよ。 私は圭介を見て言った。 「それじゃぁ……」 私は恥ずかしかったのでそこから立ち去ろうとしたのだが……。 「俺、佐奈のこと嫌いじゃないよ」 私はまた頬が暖かくなったのを感じたのだった。 完~正直と勇気
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