屋上

序

　私は高校2年。
　と言っても、学校には大して行っていない。
　くだらない周りの人達や、何もわかっていないくせに偉そうにしている教師達にウンザリしていた。
　当然、私が学校に行く事は減って行く。だけど、制服でぶらつくのも目立つし、かと言って家にいるのも親の目があるから面倒くさい。
　必然的に、ここが私の居場所になった。
　周りのﾋﾞﾙより頭一つ抜け出しているこの屋上では、本当に一人になれた。
　道行く蟻の様に小さな人達や、街の雑踏を上から見下ろすのも気分転換に丁度いいし。
　素晴らしい、私だけの居場所。
　…だったのに…。
　妙な男に見つかってしまった。
　多分、和弥なりに気を使ってくれているんだろうと思う。
　最初に会った時の状況が状況だったから。
　和弥と初めて会ったのは、3週間くらい前になる。
　私が、ﾌｪﾝｽを乗り越えて遥か地上を見下ろしていた時だった。