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「まぁ何となく理由もなしに死のうと思えたなら、何となく生きる事だって出来るんじゃないの?」
「そんなの…」
「退屈だ…ってか?」
「…うん」
和弥はスクッと立上り、大きく背中を伸ばした。勢いで、欠伸を一つ。
「…もし生きてるのが退屈だと思うなら、それは美月が何もしてないからじゃないか?」
「…は?」
「よぉく周りの人達見てみなよ。くだらないとか思ってると、きっと損するから」
「……」
本当に、変な奴。
変な奴のくせに、ドキッとする事を真顔で言って来る。
私は、何だか初対面の和弥に見透かされているような気恥ずかしさを覚えた。
その日から、私はこの屋上に通うようになった。
次に死にたくなった時に、また和弥に止められてしまいそうだから…当り前の様に通い、時が来たら当り前の様に飛ぼう。
ただ、止めてくれた和弥の前では死にたくないと思う。
──綺麗な名前だね。
お世辞でも嬉しかったな…。
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