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長屋暮らしを指南するということでおサキがさらうようにしておフサを連れて行ってしまった。
私はひとりもう一度出かけ、反省している。もっと順を追って説明してやればおフサも理解できたかもしれない。
女が体を売ることはけして珍しいことではない。
若い娘が家族の生活のためにそうすることは美談にすらなる。いや、それについては男側の都合に沿った解釈か。
現世の苦界と呼ばれる場所を、どう話せばよかったのだろう。
確かに親が子を売るということは異常で非道なことかもしれない。しかし、そうしなければ生活できない現実がある。
子を間引くよりまっとうだから、というつもりはないが、食べるに困ってのことであれば体を売るもやむを得ないとさる高僧もおっしゃった。
悩んでいても仕方がない。
長く続いてきた文化だ。時間をかけて理解してもらうより他ない。
考えることを諦め、夕暮れに後押しされるようにして長屋へ帰った。
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