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毎朝、幼稚園に元気に駆け込んでくるミミちゃんは、
教室の前で待っていてくれる大好きなマリコ先生にごあいさつをするとき、
決まって握りしめたゲンコツをぬっと出す。
その小さな手が開かれると、
ある時は毛虫が、ワサワサ、ゾロゾロ、はいでてきた。
ある時はダンゴ虫が、ゴロゴロ、ゾロゾロ、はいでてきた。
ナメクジが、グニグニしていることもあれば、
ジョロウグモが、ガサゴソしていることもあれば、
ミツバチが、ブンブンしていることもあった。
『今朝はいったい、何をつかまえてくるのかしら…』
そう思っただけで、体中に鳥肌が立ってしまう。
だけど、小さな虫と心を通わせるミミちゃんを、しかることはもちろん、やめさせることもできず、
マリコ先生は、毎朝「ミミちゃんのグー」におびえていた。
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