530人が本棚に入れています
本棚に追加
―辺りが騒々しくなってきた。
弁当を食べ終えいつの間にかベンチで眠りに付いてしまっていた遊護は、ゆっくりと体を起こし周りを見渡す。
辺りは既に多くの決闘者で埋め尽くされていた。
ざっと見ても百人はいる。
その人数に少々驚いた遊護は慌てて腕時計を見る。
「8時55分か…危ねぇ危ねぇ;」
遊護は我ながらよく起きたな、と己を誉めつつ立ち上がり、大きな液晶画面を持つビルへと視線を移した。
そして、時計台の指針が9時を差した。
それと同時に液晶画面が一人の青年の姿を映し出す。
「決闘者達よ、よく来た!ここに決闘都市の開始を宣言する!!」
画面内の青年の一喝の後、参加者達が喝采する。
「大会ルールはスーパーエキスパートルールを採用する!但し禁止、制限カードはこちらで調整したものを使用すること!!詳しくは大会参加通知に同封されたリストを見るといい。」
遊護は青年の言葉に導かれるように、リュックから大会の参加通知や数枚の紙が入れられている封筒と、カードの束―デッキを取り出す。
そして封筒を開き、『大会用禁止/制限リスト』という名の紙を引っ張り出した。
「俺のデッキは…大丈夫そうだな。」
最初のコメントを投稿しよう!