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少年は、この店の図解を持っていて、その図面を暗記しているため、骨董品屋の店員に気付かれる事なく、目当ての剣の置かれているガラスケースにたどり着いた
そして、そのガラスケースに大量のガムテープを貼り付け、そのテープの1番重なっている中心の部分を叩いた
ガムテープで固定されているため、ガラスの割れる音もなく、ガラスケースの一部を割る事が出来た
少年は、ガムテープを慎重に剥がし、他のガラスの破片を1つずつ拾い、他の部分にも、ガムテープをたくさん貼り、同じ様に叩き、また、貼り付けたテープを剥がし、これをコツコツと繰り返していった
やがて、夜になり、大きな剣を取り出せる程の穴が開けられた
少年は、ゆっくりと剣を取り出し、逃げる事にした
しかし、その剣は、子供でも持つ事が難しい程の重さなため、少年は取り出した瞬間、剣をうっかり落としてしまった
ドスンッ
剣の落ちた音は、店のカウンターの向こうの、店員の部屋まで聞こえる程の大きさだった
「何事だ。」
物音に気が付いた店員が、ドスドスと足音をたて、少年の方へと向かった
足音が大きくなっていく
少年は、重たい剣を引きずりながらも、全力で逃げ出した
足音がかなり大きくなるごとに、その音と同じリズムで、少年の心拍数が上がってきた
足音は近付いている
もう近付いている
このドアを開ける暇もない
開けられた捕まる
そこで少年は、持っている剣を思いっきり振り回し、ドアを破った
そして、また重たい剣を引きずりながら、骨董品屋を後にした
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