カルマの坂を登る

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少年は、重たい剣を引きずりながら、隣のF国の国境への道の、坂道を通った さすがに、通称【風】と呼ばれている少年も、重たい剣を引きずる姿は、持ち味の俊敏さの1つも見られない、まさに、【風】と呼ぶには悲しい姿だった しかし、この道には人はあまり通らない 少年は、エリーのために、全力で剣を引きずりながらも、坂道を登るのだった しかし、その途中で、人の姿があった 『(…嘘だろ。この時間、ここには人なんかいないはず…。ダメか…。)』 少年は、絶望に思ったその時、その人影が、歩いて近付いて来た もうおしまいか… しかし、その人影の姿を見て、少年は驚いた そう、数日間見なかったはずの、エリーだった 少年は、目をこすって、もう1度見てみた やっぱりエリーだった しかし、身体中が酷い傷だらけだった… 雪の様に白く綺麗だった服も、ボロボロに破られ、しかも、所々汚れていた 手足にも、酷い傷跡や、手跡が目立ち、所々に血も流れていた その残酷な姿を見て、少年はエリーに言った 『エリー、どうしたんだ、その有り様は…。』 「…私…、殺っちゃ…った…の…あの…家の…人を……。」 その言葉に、少年は驚く事しか出来なかった
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