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その清らかなその身体に、汚れた大人達の手が毎日触れられているのだろう
少年は何も出来ないまま、その少女をただ見ていた
その少女は、大きく、うわべだけ綺麗な家に入った
汚れた金持ちの家だ
そう、少女は、この家の主に買われたのだ
自分の非力さを感じた少年は、その家を見届け、その後はただ走るだけだった
心の中で、少年は叫んだ
『辛いだろうな、あの子…。でも、俺じゃあ何も出来ないし…。』
その思いを残しつつ、秘密基地にたどり着く
そして、またいつものように、盗んだパンを食べるのだが、いつもはペロリと食べてしまう食事なのに、今は何故かあまり口に入らない…
食べ残した、大好きなはずのクロワッサンを置き、食休みを取る
…少年は、先の綺麗な少女を思い出した
『寂しそうだったなぁ。なんとかあの子を喜ばせてあげたいなぁ…。』
少年は、またあの少女のいた場所に行くことにした
しかし、その途中の公園で、先の少女がベンチで寂しく座っていたのを見た
先に見た時より悲しい顔をしていた
少年は、少し気まずそうにしながら、少女に近づき、話しかけた
『なんか寂しそうだね。どうしたの?』
すると、少女は少年に向かって言った
「…私、遠い街から来たの。それで、この街の人のお世話になってるんだけど、その人が私に酷い事するから…。」
少年の思った通り、汚い大人にいびられていた様だった
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