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少年に力はなく… 少女には思想を与えられず…
それから、2人は毎日会う事になっていった
「お待たせ、今日も面白い話しを聞かせて。」
『良いとも。じゃあ今日は…』
いつもの公園のベンチで、自分が盗みを働かす時の武勇伝を言うのが、少年の楽しみであり、その武勇伝を、少年の盗んだ物を食べながら聞くのがエリーの唯一楽しみだ
2人にとってこの時間は、何よりも楽しい時間だった
「それで、その時どうやって店のおじさんを巻き返したの?」
『車が普通に通ってたけど、道路を横切ったんだよ。俺は車に引かれるか引かれないかのところを横切ったんだ。そのおじさんも渡ったら引かれそうになってビビってシリモチ突いてたんだぁ。あの引かれそうな時のビビってた顔は面白かったよ。』
「あはは。風くんもよく引かれなかったね。」
『命がけで盗みやってるから、そういう事も出来ないと、飢え死にしちゃうからね。』
「そうなんだあ。」
エリーは、少年が盗んだ瓶詰の炭酸の少ないコーラを飲みながら、その武勇伝を、羨ましく思いながら聞いている
「風くんって、ずっと盗みを続けるの。」
まだコーラの半分も飲んでいないエリーは、そのコーラをベンチに置いて、少年に聞いた
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