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少年は、すでに飲み干していたコーラをベンチに置いて、話し返した
『まぁ、一応そのつもりだね。でも、いつかは盗んだ物を、貧しい子供達に恵んで、俺みたいな子達を増やさないようにするのが夢なんだ。』
少年は、目を輝かして言った
それを聞いて、エリーは悲しくも見える笑顔で答えた
「夢があるのって、良いね。羨ましい…。」
その言葉を聞いて、少年は言い返した
『エリーは将来の夢ってあるの?』
エリーは、先の笑顔が嘘に思えるような、悲しい顔をして、涙ながら答えた
「私、生きてる事が辛いの。だから、この先の事も考えたくない…。」
その涙を見た少年は、エリーに謝った
『…あぁ、ごめん。まだあまりエリーの事解らないのに変な事聞いて…。』
少年は、言ってはいけない事を言ったとおもって焦ってしまっている
しかし、それを見てエリーは言い返した
「良いんだよ。まだ会って3週間もしてないもん。」
『そうかあ…。』
「そうだよ…。」
エリーは、空元気のまま、飲み残しのコーラをもう1度取った。
その時、エリーの雪の様な真っ白な服の腕のすそから、コーラの液体の色の様に赤紫の手跡が、少年の目には見えた
少年は、言葉を失いつつ、思った
『(そうか。きっと汚い大人達によほど痛い目にあわされているんだなあ。俺にも力があったらエリーを救ってあげられるのに……。)』
自分の無力さに、少年はただ呆れるしかないのだった
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