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階段を上がると、左右に4つづつ扉があった。
しかし、そんなに広くはないので廊下の真ん中に立てば十分下げてある札が読めた。
「ココがみんなの部屋よ。突き当たりがトイレ。」
ラインはグルリと見渡す。
階段から向かって右の手前から【ビリー】【イニアス】【ワイナー】、向かって左側は【オリエア】【アンナ】【ノエリ】と書いてあ…いや、掘ってあった。やっと読めるような字だが…。
「名札は手作りですか?」
「そう、ダークが…あ、さっきの牧師ね。ダークったら、不器用なくせに“ココに来る子供達に一番最初の贈り物”だって…。」
ライトはクスクスと笑うと、ポケットから板を取り出した。もちろん、板には【ライン】と掘ってあった。
それを一番奥の右側の扉にどこからかカナヅチと釘も取り出し、ガンガンと打ち付ける。そして、カチャリと鍵を廻した。
「さ、今日からココがあなたの部屋よ。」
ギッと音を立て扉が開いた。
「ココは?」
ラインは向かいの札も何もついていない扉を指さす。
「そこは物置…いらない物があったら入れて構わないわよ。」
「わかりました。」
「長旅で疲れたでしょ? 何か飲み物でも?」
「あ、大丈夫です。」
部屋はシングルベッド、タンス、小さな机にスタンド一つと質素なものだった。
「狭い部屋でごめんね。自分で好きなように使ってね。」
「いえ、十分ですよ。」
ライトはベッドの近くに荷物を置く。
「じゃあ、夕飯になったら呼びにくるから。」
「ありがとうございました。」
ラインは深々頭を下げる。ライトは笑顔で部屋を出た。
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