97人が本棚に入れています
本棚に追加
かつて福岡にて時を戻したいほど愚かで若かった大学生時代が私にもあった。
アビーロードという名のアパートでの話。
文系草食細身軟弱男の僕がいつものように哲学書を読み更けっていると、
『ごんばごーん どばばごーん!がっちゃ!どばばんごろ!』
聴いたこともない異国情緒溢れるリズムで古びた鉄ドアがぶん殴られ続け、そのまま無法の女子(おんなご)によって許可なく開け放たれた。
孤独で素晴らしい僕の読書時間に招かざる客が乗り込んできた。
この御人3階上の他人女。
先ず戸を叩く意味がない。
返事もしていないのにずかずか入ってくるとは。
もし僕が美しいご淑女と組み立て体操中だったならば一体どうするつもりだったのか。
僕は気分を害し、頬杖をついて本を片手に、
挨拶だけして読書を続ける。
「ねぇ醤油貸して」
僕の返事も待たず彼女は言葉を上乗せした。
「つーかアンタまたそんな哲学とか意味わからん本ばっか見てそんなもん見てもどーせ何もわからんて!」
と「ばしっ」と僕の愛読書を叩きつけてこうおっしゃっる。
「おひたしと味噌汁を作ったのよ 食べにきな」
(何?味噌汁?)
これはいいと返事をしかけたところをぐいと腕をつかまれ思いっきりひっぱられた
『おい・・おぉ・鍵、鍵!』
「カギなんかしなくたってどうせ盗られるもんないでしょ
最初のコメントを投稿しよう!