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その場所は巨大なビル群が支配していた。
それらから生まれる、いわゆる路地裏から何かしらの音が聞こえる。
周りからは他の音は何も無く、そのせいかやけにその音は響いていた。
辺りは暗く、等間隔で並ぶ街灯と月明りだけが頼りだ。
つまり時は夜。だがビル群から漏れ出る光が全く無いというのは奇妙なものである。
ギィン!!
また一段と大きく音が響く。
どうやら金属同士がぶつかる音のようだ。
その甲高い音は鳴り続け、夜の虚空に消える。
それに伴い、何かが動く気配。
少年が、そこに立っていた。
肩で少し荒く息をしている。
右手には厚みは少ないが刀身はそれなりに長い、真っ直ぐでスラッとした剣が握られていた。
少年はその剣の切っ先を路地裏の奥に向ける。
暗く狭い道の真ん中に、異形の何かがいた…
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