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黒のそれは2つに裂かれ、ペシャッと地面に落ちる。
…そのはずであった。
しかし黒体色のそれは地に落ちる前にまるで風化するかのように、はたまた分解されるかのようにして粒子化し、消えて無くなってしまった。
「よし、ミッションコンプリート。」
少年がそう呟いた。
そして流れるような動きで背中に差してある鞘に剣を収める。
快音が響き、辺りは静寂に支配された。
少年が路地裏から出ると、月明りにその姿が映った。
髪質は良いが、少しボサッとしている黒髪が少しだけ風に靡いている。
力のある目は大きめでキリッとしており、こちらも黒色だ。
鼻も口も形は良い。
その頬に先程切られた傷が一筋入り、血が流れている。
身長は170cm程度に見え、多少痩せ型だ。
だが、服装はどう見ても普通ではない。
上下とも、軍服に似た服を着ている。
いや、軍服というには形がより現代風だし、少し派手だろうか。
色は黒だ。
銀のボタンで前をとめている。
左胸の辺りにワッペンのような何かのシンボルが付いていた。
首にかかっているのは羽に包まれる十字架を象ったシルバーアクセサリー。
その十字の中心には翠の宝石が輝いていた。
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