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「さてと…、取り敢えず本部に帰るか?
ずっと立ち話も難だしな。」
「そうだな。腹も減ってきたし。
行くか。」
ラインハルトの提案に煌哉も賛同の意を示し、2人は歩いて帰路を辿り始めた。
ここは電子世界(サイバー・ワールド)。
虚像の世界と人々が揶揄することもある。
「ところで今日の飯は何だろうな?」
そう呼ばれることからも分かるように、ここは現実の世界ではない。
仮想現実の世界と言うのが正しいだろう。
「全くキミは…食欲旺盛だな。
食堂に行く時はほぼ毎回その質問を受けているぞ。」
現実の世界は、環境の劣悪化によって住めないようになってしまった。
原因は、止まることが出来なかった人間たち。
「いいじゃんよ、正直気になるしさ。
こっち来てから食券での選択制じゃなくなっちまったし…」
再三の話し合いや技術開発にも関わらず、世界の有限エネルギーはほぼ枯渇してしまった。
勿論そんな状況にもなれば、産油国は石油等を売らないかもしくは暴利を貪ろうとする。
「まぁまずキミは飯より医務室へ向かうべきだ。
その頬、治療してもらえ。」
非産油国は太陽光などの無限なエネルギーに頼ろうとしたが、全く足りない。
それによって、人々の生活に大きな変化が生じ始めた。
このような世界がピリピリしている状況の上、国内や国際的な人種問題・領土問題・宗教問題などはほぼ全く解決していなかった。
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