序章: -邂逅-

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「別にこれくらい大丈夫だって。 わざわざ医務室行くほどじゃないよ…」 発端が何処かの民族紛争だったのか宗教紛争だったのか、はたまた産油国に対して何処かの国が宣戦布告したのか、それは記憶されていないし記録されてもいない。 世界は、有限エネルギーを巡る大規模な戦争を開始した。 「いや、行った方がいい。 キミは鏡を見ないと分からないだろうが、かなり目立つぞ。 それに、キミが傷をつけて帰ったら心配する人がいるだろう?」 この世界大戦を、最終戦争(ハルマゲドン)と呼ぶ人すらもいる。 それだけ大規模で、凄惨な戦争だった。 「そうだな… だけどあの医務室の先生苦手なんだよ。 なんか怖いし。」 戦争というものは大量のエネルギーを必要とするものだ。 各国は秘匿していたエネルギーを使うが、無論足りない。 そんな状況で、最大のタブーを犯した国があった。 「む、まぁそれは俺も分かる。 だがそこは我慢だ、我慢。」 それは、核兵器。 ある国が、その国の最大の敵対国に向けてそれを放ってしまった。 核で狙われた国も核兵器を保有していたので、まさか撃ってくるとは想像もしていなかった。 「てめぇ、人ごとだからってなぁ…。」 それによって、対応が一瞬遅れた。 その結果、被害は甚大。 この時に最大限の対応をして、最小限の被害に抑えることが出来たならばこの後の悪夢も起こり得なかったかもしれない。
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