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そして今、僕は、一定の距離を保ちつつ彼女の後を追っている。
結局、彼女は、あの後1度も自殺サイトにアクセスすることはなかった。
数学の授業からずっと彼女を観察していたから、たぶん間違いないだろう。
そんなこんなで下校まで観察の視野を広げている。
もしかしたら水野は、ただの興味本位でサイトを開き、観覧していただけかもしれない。
だけど、もし本当に自殺願望があったとしたら?
そう考えると僕を動かすには十分すぎる内容だった。
ふいに数メートル前を歩いていた水野が足を止めた。
それに合わせて僕も止める。
すぐ近くあった電柱に隠れて様子を伺う。
彼女は、ポケットから携帯を取り出し、ボタンを押すような動作をしたかと思うと耳に携帯を当てた。
どうやら電話が掛かってきたらしい。
さすがに距離があったため、会話は聞こえなかった。
彼女は、電話をしたまま歩くことを再開した。
そして僕も近付きすぎぬよう、遠ざかりすぎぬよう歩く。
電話を切る直前の声は、なんとか聞き取ることが出来た。
「分かった。今行くね。」
どうやら誰かと待ち合わせしたらしい。
自殺サイトに関係あるだろうか?
まぁ、関係ないとしても付いて行くことを止めるつもりはなかった。
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