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コーヒーを頼み、持っていた本を読みながら時間を潰した。
10分くらいした頃に入口から息を切らした男が入って来た。
この男と待ち合わせしたのだろうか?
あまり見つめるわけにもいかないので手元の本へと目線を落とす。
その男は、予想通り水野のテーブルへと歩きだした。
本から目を上げずに耳に感覚を集中させる。
その後、しばらく話したところで水野が泣きながら店を飛び出した。
最後に水野が「分かった」と呟くのが聞こえた。
会話を振り返ると、どうやら他に好きな人が出来たから別れてほしいとの内容だった。
30分後、僕は、店を出て自宅へと歩きだす。
歩いている途中で携帯を開いた。
そして検索機能を使って、自殺サイトを探す。
すぐに見つかると思った。
しょせん高校生の水野が探すのに困難なサイトをたまたま見れたとは思わない。
そして、その予感は的中した。
上から3つ目のサイトが例のサイトだ。
真っ黒な画面に自殺を強調した文章、間違いない。
僕は、家に着くまでの1時間の間にサイトの内容を大体理解した。
このサイトには、仕切っている人間がいない。
掲示板への書き込みで話し合いが進められ、実行されるような仕組みだ。
こんな管理が出来ていないサイトでちゃんと自殺願望をもった人間は、集まるのだろうかと心配してしまうほどのものだった。
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