集団自殺

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家についた僕は、部屋で着替えをすまし、リビングのソファーに腰を降ろした。 テレビをつけてニュースをかたっぱしから見たが、自殺、集団自殺の報道はなかった。 しばらくテレビと睨めっこをしていると大学生の姉が帰ってきた。 「事件のニュースばかり見てて楽しい?」 帰ってきての第一声がそれだった。 「楽しいから見るんじゃなくて、楽しさを探す為に見てるのさ」 人差し指で姉を指しながら、そう言うと あらそう と興味なさそうに呟き隣に腰を降ろした。 僕は、『言葉』というものを自分に都合のいいようにしか言わない。 さっきの姉の質問に「楽しい」と答えたらきっと変な弟だと思われ、『人殺しに興味あるの?』などいろいろ言われて面倒だっただろう。 逆に「楽しくない」と答えればチャンネルを変えられてしまう。 だから曖昧な冗談で姉に興味を無くすように仕向けた。 それが一番都合がいいからだ。
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