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『オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ』(真言)
すると薄い幕のようなものが邸全体を覆っていく。
「何をしたんだ晴明?」
『なに…結界を張っただけさ。
俺が昔百鬼夜行を見たときもこうして師匠が結界を張ったからな…
こうしてれば奴らには俺たちの姿は見えない。
じきに通り過ぎるさ…』
そう言って晴明が不敵に笑った時…
一際強い邪気が宮廷の上空を覆った。
『面倒な奴がきたな…ι』
「面倒な奴?
誰なんだそれは!?」
『鬼さ…』
慌てる博雅をよそに晴明はそう答えた。
その間にも百鬼夜行は間近に迫ってきている。
〔人間ドモノ姿ガ見エナクナッタゾ…〕
〔陰陽師ノ仕業ダ!!〕
〔アナ憎ラシイ…〕
妖かしはあきらめ邸の上空を飛び去っていった…
……が、まだ問題は残っている。
その時、妖かしが飛び去った方向から強い邪気が感じられた。
〔流石ハ安部晴明…
アンナ雑魚ジャ通用シナイナ…〕
晴明と博雅が声のした方を振り返ると真っ赤な狩衣を着た少年が不気味な笑みを浮かべ邸の屋根の上に立っていた。
『絶鬼…か?』
〔クククッ…
ヤハリコノ姿デハ分カラヌカ(笑)
コノ姿ハ結構気ニ入ッテオルノダガナ…〕
少年は真っ赤な狩衣を広げ、上から下まで自分の姿を眺めた。
「晴明、これが絶鬼とやらか?
子供ではないか!!ι」
博雅は屋根の上に立つまだ10歳くらいの少年を見上げた。
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