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「またそうやって私をいじめるのだな、リツは」
「いいから仕事してこい、そしたら紅茶でもいれてやる」
「わかった!約束だぞ?」
きびすを返して執務室へと去っていくサリアを見送るとふぅ、と溜め息を小さくつく。
七咲 律
それが少年の名前
サリア
それが少年を呼んだ魔王様の名前。
こんな彼らが出会ったのは今から半年程前。
夏休み、律の習慣となっていた図書館での読書中のことだった。
◆ ◆ ◆ ◆
「……退屈だ」
この言葉が当時の律の口癖。
天才という名の才能を持って生まれた律にとって中学校の授業は、当たり前のことを解説されるという苦痛以外の何物でもなかった。
大学の教授が読むような専門書でも暇つぶしにしかならないのだから。
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