初まりの始まり

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 それでも学校は嫌いじゃなかった。  友達とくだらないことで喋るのはやはり楽しいものに変わりはない。  しかし同い年のクラスメート達とのズレも、やはり多々感じることがあった。  虫捕りなんか最たるもので、律にはその行為の意味がまったく理解できなかったし、精神の成熟も早かった律は些細なことで揺れ動く感情を持つ周りが不可解ですらあった。  けれど律の異質が周りにばれることはない。律が合わせているから。  テストだってわざと間違えたし、ちょっと悪さをして先生に怒られもした。  ただ勉強の出来る生徒を演じてみせる。  自宅でもそれは変わらない。  万が一自分の才能がばれでもしたら、両親は無理してより良い教育を受けさせようとするだろう。  それは律の望むところではない。
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