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青々と草が茂っているはずの大地は、砂漠のように乾いた大地へと変わっている。
周囲の木々は、いつの間にか枯れ果てていた。
見回していた視線が、シュトーレンとぶつかる。
彼はオレをにらみつける。
『来るな!! 来るんじゃねえ!!』
何百もの距離のあるその場所から発した声が、はっきりときこえた。
同時に、突風がオレを襲う。
数十メートル飛ばされたオレは、ひときわ大きな樹に叩きつけられる。
骨折はしていない。
痛みに耐えながら、オレは視線を上げる。
その瞬間みた光景を、オレは忘れることはないだろう。
シュトーレンの立っていたあたりで、光が大きくなる。
腕で直視をさけながら、オレはみた。
一瞬だがそれは、怨念、憎しみ、怒り、それらを表した顔のように見えた。
同時、オレの頭の中でシュトーレンの声が響く。
『究極呪文:マ・ダンテ!!』
直後、風が無くなる。
光が、天を貫いた。
幻想的な光景だった。
星の瞬く夜空に、一本の光の柱。
どこまでもどこまでも。
それは伸びていく。
やがて、光は空の彼方へと消えていった。
『はっ・・・!』
我に返ったオレは、シュトーレンのもとへ駆けつける。
地面には、草原だった面影は残されていない。
さっきの呪文で、このあたり一帯の生命力が吸われ、魔力として放出されたようだ。
砂に足をすくわれながら、その場所へたどり着く。
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