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「目が見えない…?」 「……はい。」 俺は驚いた。こんな無防備な美しい少女が盲目だというのか。 「君、付き添いの人とか、」 「はぐれたんです。」 「家は?」 「すぐ近くです。」 探りを入れる自分は、なんだか犬のお巡りさんみたいだな、と俺は少しおかしくなった。 「はぐれた人の携帯は?」 「分かんないです。」 俺は少し考えるふりをして、言った。 「……送るから案内して。」 俺はこの時すでに『今日は店は閉めよう』などと考えていた。 店を開ける事より彼女と一緒にいる事の方が大切に思えたのだ。 ************** 案内された彼女の家はアパートの一階で、とても小さなものだった。 これでは二人住むのも難しそうだ。 『一人暮らし? まさかな……。』 玄関を開けると、手摺があり、目が不自由でも暮らせるような工夫がしてあった。 脇には盲目の印の白い杖が置いてあった。 「わざわざどうもありがとうございます。」 少女は深々と頭を下げた。 「いやいや。これからは気をつけて。」 「あの…」 「はい?」 「お礼と言ってはなんですが、お茶でも飲まれて行きますか?」 普通なら目の見えない人にお茶を出させるなんて事はしない方がいいに決まっている。 しかし、常識に反して俺の胸は期待に膨らんでしまっていた。 『何を期待しているんだか………。馬鹿か。』 そう思って断ろうとしたが、少女の美しい顔を見ると、決心が揺らいだ。 そしていつの間にか 「じゃあ……お言葉に甘えて。」 なんて言ってしまっていた。
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