~ここはやっぱりプロローグで~

2/2
前へ
/94ページ
次へ
暗い洞窟の奥。そこに5人の家族がいた。 いや、"人"じゃないかもしれない。 「……というわけだ。やっとこの時が来た」 「えぇ、そうですねぇ。ほんまに人間の国の法律とか言うのは面倒です」 「でも、これでやっと姫姉は結婚出来るんだよな!」 「まだ……玉姫(たまき)……結婚届け……出してない……」 「大丈夫だよ」 一人が胸の前で手を組みながら応えた。 「結婚届けは、向こうの親が届けてくれたみたいだから……」 少し頬を朱に染め、感慨に浸るように応えた。 その様子を見て、大きな影がユラリと嬉しそうに動いた。 「そうだったな。こちらも向こうも、かつては企業間のライバルだったが……和解の時が来るとは……嬉しい限りだ」 「もう、あなたは……娘の祝いのほうが先でしょ」 「分かっている」 大きな影は少し動くと、胸の前で手を組んでいる一人に向き合った。 「いいか。俺達は誇り高き【九尾】。絶対に幸せになれ」 「はい……お父様」 5人の影がその祝いをするように、ユラユラと動いた
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1679人が本棚に入れています
本棚に追加