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暗い洞窟の奥。そこに5人の家族がいた。
いや、"人"じゃないかもしれない。
「……というわけだ。やっとこの時が来た」
「えぇ、そうですねぇ。ほんまに人間の国の法律とか言うのは面倒です」
「でも、これでやっと姫姉は結婚出来るんだよな!」
「まだ……玉姫(たまき)……結婚届け……出してない……」
「大丈夫だよ」
一人が胸の前で手を組みながら応えた。
「結婚届けは、向こうの親が届けてくれたみたいだから……」
少し頬を朱に染め、感慨に浸るように応えた。
その様子を見て、大きな影がユラリと嬉しそうに動いた。
「そうだったな。こちらも向こうも、かつては企業間のライバルだったが……和解の時が来るとは……嬉しい限りだ」
「もう、あなたは……娘の祝いのほうが先でしょ」
「分かっている」
大きな影は少し動くと、胸の前で手を組んでいる一人に向き合った。
「いいか。俺達は誇り高き【九尾】。絶対に幸せになれ」
「はい……お父様」
5人の影がその祝いをするように、ユラユラと動いた
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