一尾~これって幸せ?~

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大体に僕はこいつが嫌いだ。毎朝のこの訪問は別に良い。むしろ嬉しい。 しかし、こいつには……。 「ほら……彼氏が待ってるだろ……早く行けよ……」 「あ!いけない!もうそんな時間!?学校来なさいよ健介!」 騒がしく部屋を飛び出して行った飛鳥の後ろ姿を見ながら思う。 僕は、飛鳥が好きだった。 小さい頃から好きだったが、飛鳥は別の彼氏をつくって幸せに過ごしている。 だから、嬉しいと同時に憎い気持ちになる。それに前に僕の家の事を自慢していた事を聞いてから拍車をかけた。 ふとカレンダーを見て見ると、今日は水曜日。 「やば!今日は学校行く日だ!」 僕は慌てながらパジャマから制服に着替え、居間へ急ぐ。 因みに塩見家は経済界では知らぬ者がいないほど大企業の一族で、自然と家も豪華になる。だから家も馬鹿に広くなってしまう。 前に親父に「家が広すぎる」と言ったら、 「自転車でも設置すれば良いだろう。室内用の」 常識がズレすぎにも程がある。そのうえ室内用のチャリなんて聞いた事がない。 建築基準法ナメんな!

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