慟哭

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抱きしめられた空間は 時間も距離も隙間なく 形としての塊と 動かぬ温もり感じるだけ 陸で冷えた爪先からは はみ出た尾鰭をすかしみる 滲む血房を探り当て 吐息を泡に包み込み 涙に預けて沈みゆく 泳ぎを忘れて久しき者に 命を与え生かしてくれた… その瞬間を永遠と呼ぶ都合の良さに 自分の躯を共鳴させる おまえの上で夢を魅させて… 自由に泳ぐ 人魚の夢を…
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