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「やめろぉおおぉおおおお!!!!」
まだあどけなさの残る少年が、ありったけの声で叫んだ。
「ぎゃあアあァあぁあぁぁあア!!!」
次の瞬間、目の前の父親の手がボトリと落ちた。凄まじい勢いで血が噴き出し、父親が悶絶する。
「父さあぁあぁあん!!!」
少年が必死に叫ぶ。その顔は悲壮に満ち溢れていた。
少年は、男二人に左右から、腕をつかまれ、身動きがとれないでいた。
「くそっ!離せよっ!!」
必死にもがくが、大人の男の力には、敵わなかった。
まさに今、一人の男の振り下ろした日本刀によって、父親の左手が切り下ろされたのだ。少年は、噴き出した父親の血を、顔に受け止める。
「ぁあぁあ…!」
初めてみた大量の血に、少年は青ざめた。
男は、少年のほうをゆっくりと振り返り、「坊主!!よく覚えとくんだな!!世の中は金よ!!借金返済の為 こいつは マグロ漁船にでも乗ってもらう!!ガハハハハハ!」
と下品に笑った。
「てめえぇ!!」
少年はキッと男を睨みつけた。歯を思いっきり食いしばったせいか、口の中に血の香りが広がっていく。
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