Tシャツとジャージ

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味わったことのない感情を理解しようにも、色んな事がありすぎて、考えはまとまらず風呂の中でも、何を考えているのかもわからない、放心状態のまま、湯船で疲れを癒した。 『ガチャ』 部屋を開けると梨恵はテレビを見ていた。 「おかえり」 「フフ」 さっき、俺が思わず口走った、恥ずかしいセリフを梨恵が小馬鹿にしたように笑顔で言う。 「ただいま」 「これインスタントだけど食べて」 「ありがと」 「お腹空いてた」 もうこのまま夜でいい。 朝なんか来なければいい。 そうすれば学校なんか行かなくていいのに。 そんな事を考えていたが、朝は当たり前の様に来るわけで、梨恵は俺の部屋で俺は隣の兄貴の部屋で、それぞれの思いを胸に朝を迎えた。
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