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『もぉ~!起きて!!』
『ん~…おはよ…』
俺の名前は『雄樹』。中学三年のスポーツも勉強もできないさえないやつだ。
朝から元気に大声を出しているのは、幼馴染みの『紗織』。
家が近いのとお互いの親同士が仲がいいのもあって、小さい時から一緒に学校にいっているのだが…。
『もうちょっと…寝たいから先に行ってて…』
最近まわりから冷やかされるようになり、そろそろ別々に行きたいと思っている。
『もうちょっと寝たら遅刻しちゃうよ!早く準備して!』
と、同時に布団を勢いよくはがされた…。
『ん~…お前俺が裸で寝てたらどうすんだよ…』
『そんなのどうでもいいから早く準備して!私が脱がすわよ!』
『いやいや!わかったわかった…着替えるからでてって。』
『別にいいじゃない。昔から何度もみてるのになに意識してんの?』
年頃の女とは思えないセリフだが、幼馴染みとはこんなもんなのだろう…。
『い…意識してねーよ!わざわざ見せるもんじゃないだろ!すぐ着替えるから下でまってろよ!』
『…早くしてよ!』
女は強いなと思いながらも、確かに『紗織』を女だと意識しだしているのは自分でも気付いている。
でも、いくら幼馴染みだとはいえ中学三年にもなると男は男っぽく、女は女らしくなっていくので意識しないのが無理だと思う。
『あ~かったり~…。じゃあいこっか』
『いこっか…じゃないわよ!走らないと遅刻よ!ほら!急いで!』
朝からドタバタするのは嫌なのだが急かされるままに『詩織』に合わせて走りだした。
『ハァ…ハァ…朝から走るのダリィ~』
『ハァ…ハァ…朝から走ってるのは雄樹のせいでしょ!ハァ…疲れるから喋らせないで!』
『ハァ…ハァ…あ~い…』
小さい時はおとなしくて、いつも俺の後ろをついてきていたのに今では紗織の後ろを俺がついていっている…。
『紗織』が覚えているかわからないが小さい時に一度だけ、『紗織』の前で泣いたことがある。
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