5人が本棚に入れています
本棚に追加
『お母さん飯まだぁ~!?』
『うるさいわね!もう少しだから待ちなさい!』
『腹減った~。あっ!それと第一志望〇〇高校にしたから!』
『あら。そうなの?紗織ちゃんは△△高校らしいわよ。あんたたちも高校いったら離れ離れね。せっかく雄樹のいいお世話役だったのに…。』
『別にあいついなくても高校入ったらちゃんとするし!なら二階にいるから飯できたら呼んで!』
『はいはい。』
親はいつも『紗織』の世話になってるように言うが実際は……世話になってる…。
でも!たまには世話になってない時もある!…ホントにたまにだけど……。
それはいいとして進路を書かないと。
第一希望に〇〇高校と書こうとすると、さっきの母親の一言を思いだした。
そう、中学卒業すると離れ離れになるということだ。
今まで家が近くで学校も同じだから一緒に行ってたけど、高校ちがったら朝でる時間も違うしもう一緒に行くこともなくなるだろうな…。
『俺がもっと頭よかったら……ん!?なに一人で言ってんだ俺!?頭がよかったらなんだっつーの!?やばいやばい…。』
などと一人で焦っていると母親の呼ぶ声がした。
『雄樹!雄樹~!』
『あいあい!飯できた?』
『あとご飯が炊けたらできるからもう少しまちなさい!それより、このおかず紗織ちゃんの家までもっていって!』
『え~なんで俺が!?忙しいんだけど!』
『飯飯言ってるののどこが忙しいの!どうせご飯までまだ時間あるんだからもっていきなさい!』
『んぬ~…!わかったよ。すぐ帰ってくるからそれまでに準備しといてよ!』
なぜか母親だけでなく女に頭が上がらないのは普段父親が母親に怒られているのを見ているからだろうか…。
そういえば『紗織』は毎日のようにうちに迎えに来ているが『紗織』の家に行くのはずいぶん久しぶりだ。
小学生くらいまではいつも一緒にあそんでいたが、中学に入ってからは一緒に学校の行き来をするだけで遊ぶことはなくなった。というか、俺が誘われても断るようになったのだが。
恥ずかしいというのもあったが、正直なにして遊んでいいかわからなくなったのが一番の理由だ。
最初のコメントを投稿しよう!