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『紗織』の家の前に着くと、なにか言い合いをしているのが聞こえてきた。
『せっかく△△高校いけるって先生も言ってくれてたのに…。紗織もいけるなら行きたいって言ってたじゃない。もう一度考えなおしてみなさい。』
『もう決めたの!私がいいって言ってるんだから好きにさせて!』
え~…入りズラい…。なんでこのタイミングでケンカするかな紗織ちゃ~ん…。
しかし、俺以外にこんなに声を荒げている『紗織』は初めてだ。なにがあったのやら…。
とりあえず飯が俺を待っているのでチャイムを鳴らした。
ピンポーン!
『はい!』
怒った声で返事をしたのは、よりによって『紗織』だった。
ガチャ!
『あれ?雄樹!なにしてんの?』
『どうも~…ウチの親がコレ持っていけって』
『あっ!ありがと!』
『じゃあ……』
『俺は飯が待ってるから』と言って帰ろうとした時…奥から『紗織』母親の声が聞こえた。
『紗織!まだ話は終わってないわよ!』
『うるさいな!話しても変わらないから話さない!』
俺はおかずを届けにきただけなのに、なぜ気まずい雰囲気に混ざらなければならないのだろう…。
早く逃げようと、『じゃあもめてるみたいなんで帰ります』と言おうと思った瞬間
『雄樹!ここじゃお母さんがうるさいから私の部屋にいこ!』
『え…?』
えぇ~!!なんで!?家には俺を待つ人(飯)がいるのに!?わざわざこの重い雰囲気の中に連れ込む!?
一言でも『遊びにきました』っていったか?もしくは『ウチの親がこれもっていけって』が別の耳が発動して『遊びにきました』にきこえ……ねぇ~だろ!
そんなオロオロしてる俺の腕を『紗織』が掴むと、なにも言わせず部屋に連れて行かれた…。
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