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ガチャン!ガチャガチャ!
『もう!お母さんうざい!』
いやいや…キミキミ…僕を部屋に入れてどうするつもりだい…。
『あの~…もめてるみたいなんで~…帰り…ましょうか?』
『あ!ごめんね!気にしないでいいから!で、どうしたの?』
『ん…?』
えぇ~!!勝手に部屋まで連れ込んだあげく、なにこのムチャ振り!?俺に芸人の道を歩けといっているのか!?
『いや…特に用事は…。あえて言うならおかずをもってきただけ…かな…』
『あっ!そっか!ごめんね…怒ってたからおかず下においてくるの忘れてた…』
『う…うん…』
そこ!?謝るとこはそこなの!?いやいや…いやいやいや!俺はなにか?『早くおかず持って行かないとおばさん心配するよ』って言わないといけないのか?
無理無理!ん~ツッコミどころが多すぎてどれをツッコムべきかわからない…。
と一人迷っていると『紗織』が話しかけてきた。
『そういえばウチにくるの久しぶりだね!』
『…あっ!うん!』
『ねぇねぇ!これ覚えてる?』
『ん~あ~っ!懐かしいね!いつもあそんでた公園に落ちてたオモチャの指輪だろ?』
『そうそう!雄樹は別の子が忘れてたいったモノだから元の場所に戻せって言ってたのに、私が泣いて駄々こねて結局持って帰ってきたやつ。』
『まだ持ってたんだ…。そんなにそれほしかったの?』
『小さい時はお嫁さんに憧れてたから指輪がどうしても欲しかったの!でもこれは今でも宝物なの。』
『へぇ~ロマンチッ子ちゃんなんですね。』
『うるさいわね!』
『ところでおかずも届けたんでそろそろ…』
『あっ!そうだね!ここに置いてたら悪くなっちゃうね!下に持っていってくるからちょっと待っててね!』
『あ…あ~い…』
こいつは天然がなせる技なのか?お前の家のおかずより俺を待ってる飯のおかずが心配だ…。
しかしあらためて部屋を見渡すと昔は子供っぽいへやだったのに、すっかり女の部屋になっている。
それでも、懐かしいなと思うような昔のモノもいっぱいある。
ふと、机を見ると進路を書くプリントが置いてあった。
『みっけた~!あいつ人のだけ聞いて自分のは秘密とか許されんだろ!』
これで許してやるかとプリントをめくると…『【第一志望】 〇〇高校』と書いていた。
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