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「………………」
とある日の早朝、一之黒家の一室。“かっこう”こと薬屋大助は、深い眠りについていた。普段なら、誰にも起こされる時間ではないのだが、今日は大助の部屋にひとりの少女が入ってきた。
「オラッ!オレ様が起こしに来てやったぞ!さっさと起きろ“かっこう”」
入ってきたのは、綺麗な外見とは裏腹の乱暴な口調が特徴の“霞王”である。
「なんで、オレ様が“かっこう”の野郎を起こしに来なきゃならないんだ」
愚痴を言いつつ、大助に近付き、大助の頬を叩いている。不満を口をしてはいるが、顔にはイヤな笑みが浮かんでいた。
「ゼンゼン起きなねぇな。………となると、起きないほうがワルいんだよな」
大助と霞王しかいない部屋で、同意を求めるような声が静かに響く。当然、返事なんて返ってこないのだが、霞王は相変わらずイヤな笑みを浮かべていた。
取り出したのはマジックペン。それを手に、大助の顔に接近する。
「フフフッ、覚悟するデス」
心なしか上品な喋り方になっていたが、顔はイタズラをする前の子供みたいな笑みが………。
そして、霞王のペンが大助の顔に当たる瞬間、異変が起こった。
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