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「…なんか飽きた.寝る」
だって石田、
かまってくれへんし
なんて言葉は胸にしまって.
ソファから離れようと立ち上がって
ベッドに向かう.
「んじゃおやす」
み、
の前に、景色が変わる.
変わった景色には
ベッドではなく石田の顔.
見れば俺の腕は、石田の手の中.
「…何?」
あきれた様に聞けば
腕を無理矢理引き寄せられて
もう片腕でソファ越しに
肩を抱かれる.
ひやりと冷えた石田の手が
首に触れて冷たい。
すると石田は耳元で
「盛ったまんま独りで寝る気なん?」
だなんて.
やっと、構ってくれた?
「もう今日は疲れたから」
遊ぶ様に言えば
「そんなん知らん.盛らした井上が悪い」
なんて、俺のせい.
盛らした俺が悪いと言うなら
俺を盛らした猫が悪い.
でも
猫も俺も
構って欲しさに悪戯する
寂しがり屋なのに変わりはない、
のかも.
石田の温もりを感じる頃には
猫の鳴き声は遠くなっていた.
END
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