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「…なんで、直樹に逢えないんだろう」
午後8時。
雨か雪が降るとかマネージャーが口煩く、外出する時は傘を持って行けってうるさかった。公園のすぐ向かい側に俺が住んでいるマンションがあるし大丈夫だろう。
寒い風に首を竦めて気に入ってる黒いマフラーを強めに巻いた。
どこかで車のブレーキ音が聞こえた気がする。雪が降り始めたばかりだしな。傘を取りに行こう。
この公園はたくさんの木が在って少し広い。出入口が2箇所ある。もしかしたら俺がこの公園出た後に反対側から来るかもしれない。2分の1の確率で…。
分かれ道。
直樹に逢えますように。
よしっ!気合いを入れて全力疾走で走りだした。
「……居た」
偶然にも直樹がそこに居た。自分の強運に感謝したい。
「直樹!」
直樹の手から傘が滑り落ちた。
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