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「莉華、圭、ただいま」
まだ寝ているであろう圭を起こさないように古びた木製のドアをなるべく音を立てないように閉めた。
「直樹兄!!」
「うぉ!?」
タックルをかまされる勢いで飛び付いてくる圭を支えきれるずに一緒に玄関に倒れ込んだ。もろに尻を強打した。
「痛ー」
「うっ…」
「圭…?」
「…直樹兄まで、居なくなるじゃないかって!!」
癇癪を起こして周りが見えなくなっている圭は怒鳴り喚きながら俺の服にしがみついて離れない。部屋は服や物で散乱している。
「大丈夫だよ、圭」
ただ震えている背中をさすってやることしか俺は出来ない。
「1人は嫌だ!」
「莉華と俺が居るだろ?」
何故か苦しそうに顔を歪めて声を絞りだす。この時、始めて俺の前で圭は泣いた。
「…なん、なんで!?莉華姉のことなか!」
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