プロローグ

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そこにはベンチに体育座りをしている。脚を手で抱きしめるように丸まって小さくなってこの寒い中じっーと夜空を見上げている。 一瞬、ホームレスかと考えがよぎったが身なりは普通だし、制服を着ていた。 「何してんの?」 唐突に何を言ってんだと思った。なんかナンパしてる気分になってきた…。それに見知らぬ人に声を掛けることなんて一度もしたことがなかった。なんだかドキドキしながら返答を待った。 「空見てんだ」 「…俺も、さっきまで見てた」 暗くってはっきりとは見えない横顔を見つめた。今日は満月で月明かりに照らされている。 声からして同じ男だということは分かった。なんだかもっと聞いみたいことは有ったけどそれ以上、話す気にもならなかったので… 「名前なんて言うの?」 「直樹(なおき)、あんたは?」 「俺?…俺は紘平」 .
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