プロローグ

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風呂に入ってからベランダに出た。牛乳パックを片手にさっきまで居た公園を見下ろした。 やっぱり、冬は寒い。湯冷めして風邪を引いたら笑えないと思ったけど、直樹と名乗った彼が気になった。 また逢えたら…。 友達になりたいなんて思っている自分が笑えた。 ピロピロピロピロ 殺風景の自分の部屋。テーブルの上に置いた携帯が鳴っている。液晶に表示されている母の文字。 「もしもし、母さんどうしたのこんな遅くに?」 「遅くにごめんね、紘平が元気にしてるかなって想って…声聞きたくなったの」 「俺は元気だよ、母さんは?」 電話ごしから聞こえる母の声はまだ若々しくって、仕事の合間にかけてきてくれたんだと分かった。 父は若くして大手企業の社長になったことだけは在る、今だってバリバリ現役で働いている。母だって女優だしレギュラー番組を何本も掛け持ちで最近ではCDも出すし忙しい。 「もう、遅いから俺寝るね?」 「そうね、おやすみ」 「うん、おやすみ」 .
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