40人が本棚に入れています
本棚に追加
風呂に入ってからベランダに出た。牛乳パックを片手にさっきまで居た公園を見下ろした。
やっぱり、冬は寒い。湯冷めして風邪を引いたら笑えないと思ったけど、直樹と名乗った彼が気になった。
また逢えたら…。
友達になりたいなんて思っている自分が笑えた。
ピロピロピロピロ
殺風景の自分の部屋。テーブルの上に置いた携帯が鳴っている。液晶に表示されている母の文字。
「もしもし、母さんどうしたのこんな遅くに?」
「遅くにごめんね、紘平が元気にしてるかなって想って…声聞きたくなったの」
「俺は元気だよ、母さんは?」
電話ごしから聞こえる母の声はまだ若々しくって、仕事の合間にかけてきてくれたんだと分かった。
父は若くして大手企業の社長になったことだけは在る、今だってバリバリ現役で働いている。母だって女優だしレギュラー番組を何本も掛け持ちで最近ではCDも出すし忙しい。
「もう、遅いから俺寝るね?」
「そうね、おやすみ」
「うん、おやすみ」
.
最初のコメントを投稿しよう!