第一話   花一匁

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「こすずちゃん?」 マルゥが心配そうに聞いた。 「大丈夫。・・・具体的に何をすればいいの?」 マルゥの表情が明るくなった。 「噂!なんか都市伝説みたいのない?」 都市伝説・・・一つ、おもいあたる。 「『花一匁』」 アヤが言った。 「『花一匁』?」 マルゥはきょとんと繰り返した。「この相談所からは少し離れた場所に公園があるの。 そこで歌がいつも聞こえてくるんだ。」 アヤは一息ついたあとに歌いだした。     かってうれしいはないちもんめ     まけてくやしいはないちもんめ     にやりとわらうとアヤは話に戻った。 「公園でその歌を聞くとつれていかれるらしいの。」 「公園以外で聞いたら?」 「なんもない。でも実際聞いた人が何人もいるよ。 公園のぞいても誰もいないし。」 ローテンションなアヤの返答にマルゥは顔をしかめた。 「じぁあどうしてさらわれるなんて噂が立つの?」 今度はアヤは興奮気味に言った。 「歌が辺りに聞こえる日は公園に出かけたはずの子が帰ってこないの。 これはニュースにもなってるよ!」 「おかげで公園は今封鎖されてるけど。」 アヤに付け加えて私が言葉をはさんだ。     それを聞いたマルゥは大人びた表情で考え込んだ。 「いこっか。」 マルゥの呟きにアヤは子供のようにはしゃいだ。   アヤとマルゥ・・・中身入れ替えたらちょうど良さそう。     さぁ、私に拒否権はないだろうし・・・出かける準備をしよう。image=49392986.jpg
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