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私はアヤの後ろについて街へと出掛けた。
「おっかしーなぁ。この辺なんだけど・・・」
アヤが小さく折り畳んだ地図を開いた。
私も地図を見たい。
覗き込もうとしたとき、ふと黒い羽が鼻を掠めた。
カラス?
必死で地図と睨めっこしているアヤの横顔の奥に黒い羽をはやした青年が立っていた。
タンクトップに中途半端な丈のズボン。首からは鍵をぶら下げている。
おまけに裸足だ。
雑踏の中で一際めだっていた。
あの羽はなんなんだ?
意味がわからない。
、
、
まさか・・・コ、コスプレ!?
かかわらないほうがよさそう。
・
・
・
だけど かっこいい・・・
整った顔立ちにサラサラの黒い髪。
長い睫毛が瞳をより大きく見せていた。
彼は目に悪そうなくらい長い前髪の奥からじっと私を見た。
私が慌てるのを見ると柔らかく微笑んで手を振った。
な!なになに?!!春?私今春なの??
私は彼を直視できなくなって火照った顔を手で覆った。
「こすず。なに女の子にみとれてんの?」
アヤが冷ややかな視線を向けていた。
「女の子!!?あれが?!」
明らかに青年だよ。
どういうこと?オカマなのあの人?!
いや、逆・・・んー・・・いや、なんか考えるのめんどくさい。
「お姉さんたち。」
クスクスと笑いながら先程の青年の影が私たちに近づいてきた。
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