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「地元の人?わたし引っ越してきたばっかなんだ♪」
影が気さくに聞いた。
あの青年の影はいつのまにか青年を主人としていなかった。
影の先にいたのはさっき私に笑いかけた青年ではなかった。
小柄な体に明るい黄土色の髪。
陶器のような肌。
大きなくりくりした瞳。
そう、アヤのいうとおり私の視線の先にいたのは女の子だったのだ。
黒い 羽。
カラス。
わたしは首をぶんぶん振って女の子を凝視した。
青年の面影はない。
「わたし、マルゥっていいます。
お姉さんたちは?」
「私はアヤ、・・・ちょ!こすずっ」
アヤにこづかれて私は我を戻した
「あ、私はこすず。」
少女、マルゥはふぅん、と私の顔をまじまじ見つめた。
そしてぼそり。
「鍵穴・・・?」
え?
戸惑う私を見てマルゥはにっこり笑った。
「ううん、人違いみたい。
こすずちゃんにアヤちゃん、うち近いんだけどお茶でも飲まない?」
アヤはぱあっと表情を明るくして快諾した。
あーあ、私のバッチ屋さん・・・。
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