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彼女の家についてまず一言。
「でかい・・・。」
アヤと私は声をハモらせた。
街中にしては大きすぎる洋館。
見たところ三階建てに屋根裏がついていそうな大きさ。
窓や扉に施された細工もたいしたものだ。
よほど腕の良い技師を雇ったのだろう。
しばらく見上げているとアヤがはっとして地図を取り出した。
「え?!ここバッチ屋さんだよ!」
「先週まではね。」
マルゥはにっこり笑って答えた。
「今はお父さんが心霊相談所してるんだ。
さ、早く中にはいろう。」
館の中も立派な様相だった。
細やかな装飾がそこかしこに施され、シンプルな間取りに重厚感を与えていた。
「バッチ屋さんを一週間でここまでしたの?
良い大工さんがいたのね。」
アヤが感嘆の息を漏らした。
マルゥは何故かクスクスと笑い何も語らず私たちを応接間へ通した。
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