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「ただし」
マルゥが私の目を覗き込んだ。
「仕事を手伝ってもらうけど。」
柔らかな微笑み。
一見天使のような笑顔。
条件だって大したことではない。
だがどうしても体の奥から冷たくどろどろした恐怖が沸き上がる。
警鐘が鳴る。
これは・・・契約だ。
約束じゃない。
確証はないけど彼女の正体が、よぎる。
返事に迷っていると、アヤがマルゥの手を取った。
そうだ、アヤは大のオカルト好きだった。
「おもしろそう、やるよ!もちろんこすずもやるよね?」
アヤは満面の笑顔で同意を求めた。
私、これに弱いんだよなぁ。
私は力なく首をたてに振った。
マルゥの優しい笑顔が、あどけない言葉が・・・私の恐怖をかりたてた。
警鐘がなりやまない。
近づいちゃダメだと何かが叫ぶ。
きっとアヤがいなくても私はこの警鐘に逆らっていただろう。
悪魔の契約・・・
きっとこの感覚はそれを結ぶときに感じるものだ。
魅力的な恐怖が体の内側を逆撫でしていった。
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