第二話『落ちこぼれのハルト』

8/13
前へ
/410ページ
次へ
「特徴は確か…」 先生は特徴を思い出そうとした時、 「教えてあげる」 後ろから声が聞こえた。生徒全員が振り返える。 「漆黒の風は、女の子」 今まで無言だった少女が、生徒達に近付く。 「黒髪に銀の眼鏡。ローブを纏ってフードを被っている」 そこでハルトが声を出した。 「それって……」 ハルトの額に冷や汗が流れた。少女の姿を見回す。震える口から声が聞こえた。 「君のことなの?………ルナ」 ルナは一度頷いた。 「そう」 ルナの周りで、リーヤが羽音を立てて飛んでいる。 生徒達の静寂を破り、先生がルナに言った。 「君が漆黒の風なのかね」 「そう」 「この街に何をしに来たんだ?」 「ある人の手掛かりを探しに。でも何もないみたい。だからもう出ていく」 リーヤは静かにルナの肩にのった。ルナ達が去ろうとした時、先生に呼び止められた。 「待ちなさい。君のような魔法使いを野放しにしておけば、必ず被害が増える」 ルナは先生の顔を見て言った。 「文句なら勝手に賞金つけた政府に言って。賞金なんかつけるから賞金稼ぎが狙ってくる。あの人達が襲って来たから倒しただけ。立派な正当防衛だと思うけど」 「黙りなさい」 先生の眉間に深い皺が刻まれた。 「君は……ここで死んだ方がいい」
/410ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2009人が本棚に入れています
本棚に追加