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「特徴は確か…」
先生は特徴を思い出そうとした時、
「教えてあげる」
後ろから声が聞こえた。生徒全員が振り返える。
「漆黒の風は、女の子」
今まで無言だった少女が、生徒達に近付く。
「黒髪に銀の眼鏡。ローブを纏ってフードを被っている」
そこでハルトが声を出した。
「それって……」
ハルトの額に冷や汗が流れた。少女の姿を見回す。震える口から声が聞こえた。
「君のことなの?………ルナ」
ルナは一度頷いた。
「そう」
ルナの周りで、リーヤが羽音を立てて飛んでいる。
生徒達の静寂を破り、先生がルナに言った。
「君が漆黒の風なのかね」
「そう」
「この街に何をしに来たんだ?」
「ある人の手掛かりを探しに。でも何もないみたい。だからもう出ていく」
リーヤは静かにルナの肩にのった。ルナ達が去ろうとした時、先生に呼び止められた。
「待ちなさい。君のような魔法使いを野放しにしておけば、必ず被害が増える」
ルナは先生の顔を見て言った。
「文句なら勝手に賞金つけた政府に言って。賞金なんかつけるから賞金稼ぎが狙ってくる。あの人達が襲って来たから倒しただけ。立派な正当防衛だと思うけど」
「黙りなさい」
先生の眉間に深い皺が刻まれた。
「君は……ここで死んだ方がいい」
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