第二話『落ちこぼれのハルト』

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その言葉にリーヤが腹を立てた。 「何言ってんのよあんた!なんでルナが死ななきゃいけないのよ!」 先生は皺を寄せたまま答えた。 「簡単なことだ。一人のために全ての人間が不幸になるならば、その一人を殺せば幸せになる」 リーヤは拳を強く握った。 「ふざけんな!」 リーヤは先生に向かって殴り掛かろうとしたが、ルナが手を出し遮った。 リーヤは声を荒げた。 「あんたにルナの何がわかるのよ!ルナは……」 「リーヤ」 ハルトはリーヤの口を人差し指で塞ぐ。そっと指を放し、先生に言った。 「殺すなら別にいいよ。でも、あなたが私を殺せるとは思えない」 「舐めるなよ。外道魔法使いめ」 風が先生の周囲に吹き始めた。生徒達はハルトを除いた全員が避難する。 ハルトは一人その場に立ち尽くしルナを見ている。 何故逃げないのか、ハルト自身さえわかってはいない。 リーヤがルナから離れる。 「ルナ」 「問題ないよ。すぐ終わらせるから」 そう言い、ルナは先生の方に向き直る。 リーヤはハルトの肩に留まった。リーヤとハルト、生徒達は二人を黙視している。 張り詰めた空気が流れる。 風がルナのローブと髪を靡かせる。 校庭に咲く桜の花びらが散り舞う。 強風に紛れて、声が聞こえた。 それが先生の詠唱だとわかったのは、ルナだけだった。
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