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「攻撃、風の弾丸」
先生の周囲に、凝縮された空気の塊が発生する。数は3、大きさは野球ボール程度。
それがルナに向かって放たれた。ルナは一歩も動かない。
ルナの周囲には土煙が漂った。
直撃したと思われた。生徒も悲鳴か歓声かわからないような声を上げている。
ハルトは目を見開き、愕然としている。リーヤがそっと囁く。
「大丈夫だよ」
ハルトはリーヤを見た。リーヤは続ける。
「1億の賞金首ってのは伊達じゃない」
そう言われ、ハルトはルナがいた場所を見た。
一陣の風が土煙を吹き飛ばしていく。
そこに存在した影に誰もが驚いた。
「この程度の魔法で、人は死なない」
ルナが悠然と立っている。先生がその場に座り込んでしまった。ルナは先生との距離を詰めていく。
「何をした」
先生は震えながら尋ねた。
「あなたの魔力が低すぎて、私に魔法が届かなかった」
「そんな…」
「これで終わりにする」
ルナが踏み出した一歩に、先生は声を発する。
「ま、待ってくれ」
先生の悲願はルナに届かなかった。
ルナは詠唱を始めた。
「攻撃、風の剣」
ルナの左手に風で作られた、剣が出現する。
剣を振りかざし、先生目掛けて切り掛かった。
だが、それは命中することはなく、顔の左側を通過した。
ルナはわざと外した。
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