第二話『落ちこぼれのハルト』

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リーヤ以外が絶句した。 先生は力の差に絶句した。 生徒達は先生が負けたことに絶句した。 ハルトはルナが一瞬見せた殺気に。 そして、皆が共通して絶句した理由はもう一つ。それは、ルナから感じた強大な魔力。その魔力に触れただけで倒れてしまいそうなくらいだ。 「もう行っていいよね」 ルナが先生に尋ねた。先生は怯えた様子で首を縦に何度も振った。 ハルトの肩に留まっていたリーヤが飛び、ルナのところへ行く。 「やっぱり『伝承魔法(レジェンドスペル)』は使わなかったね」 「こんなとこで使ったら、この街が壊れちゃうでしょ」 リーヤは、そうだねと言って笑った。今更恐怖を抱いたのか、生徒達は先生を連れて悲鳴を上げながら逃げて行った。先生は、半ば引きずられているようだった。 リーヤはその様子を見て大声で笑い噎せていた。 「これで何人目かな」 ルナの表情に憂いの色が浮かぶ。咳を止めリーヤは聞いた。 「何が?」 「私を恐れて、逃げ出した人達」 リーヤが僅かな間を空けて聞いた。 「やっぱり悲しい?」 「別に」 「ルナ……」 また、僅かな間があった。ルナが言った。 「あの人を見つけられたら、私にも『友達』が出来るのかな」 また間があった。 「出来るよ……きっと」 ハルトは二人を見ていた。
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