2009人が本棚に入れています
本棚に追加
リーヤ以外が絶句した。
先生は力の差に絶句した。
生徒達は先生が負けたことに絶句した。
ハルトはルナが一瞬見せた殺気に。
そして、皆が共通して絶句した理由はもう一つ。それは、ルナから感じた強大な魔力。その魔力に触れただけで倒れてしまいそうなくらいだ。
「もう行っていいよね」
ルナが先生に尋ねた。先生は怯えた様子で首を縦に何度も振った。
ハルトの肩に留まっていたリーヤが飛び、ルナのところへ行く。
「やっぱり『伝承魔法(レジェンドスペル)』は使わなかったね」
「こんなとこで使ったら、この街が壊れちゃうでしょ」
リーヤは、そうだねと言って笑った。今更恐怖を抱いたのか、生徒達は先生を連れて悲鳴を上げながら逃げて行った。先生は、半ば引きずられているようだった。
リーヤはその様子を見て大声で笑い噎せていた。
「これで何人目かな」
ルナの表情に憂いの色が浮かぶ。咳を止めリーヤは聞いた。
「何が?」
「私を恐れて、逃げ出した人達」
リーヤが僅かな間を空けて聞いた。
「やっぱり悲しい?」
「別に」
「ルナ……」
また、僅かな間があった。ルナが言った。
「あの人を見つけられたら、私にも『友達』が出来るのかな」
また間があった。
「出来るよ……きっと」
ハルトは二人を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!