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季節は春。草が生い茂る草原の所々には、白や桃色の色鮮やかな花が咲き誇っている。
誰もが心を踊らせるような舞台。その雰囲気には合わない、男達が一人の人物を取り囲んでいる。
男達の数は30人。それぞれが剣等の武器を持っている。男達のリーダー格の男が怒声を上げた。
「もう逃げられねぇぞ。てめぇの首を撥ねりゃ、1億は俺達のもんだ。おとなしく殺されな」
男達の輪の中にいるのは、セミロングの黒髪を靡かせる少女だった。身長165くらい。黒く透き通った瞳を守るように銀の縁無し眼鏡を掛けている。白のローブが風で揺れる。ローブの下から黒一色でまとめた、ブラウスとミニスカートが見える。
少女はため息をつき言った。
「13組目」
「あ?」
男は聞き返す。
「何言ってんだてめぇ」
「今月に私を狙った奴等はあなた達で13組目だと言ったの」
少女はそう言い、男達を睨む。その鋭い瞳に男達は怯んだ。リーダー格の男が士気をあげ体勢を取り戻すが、リーダーも僅かな恐怖を抱いている。
「く、くそっ。てめぇらやれぇ」
雄叫びを上げて男達は少女に突撃する。
少女は一歩も動かず、落ち着いた様子で何かを呟いた。
「………」
その瞬間男達は倒れ、緑の草が赤く染まった。
その上を少女は静かに歩き去っていく。
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